2014年12月30日

2014年マイベストアルバム〜邦楽編〜

前回のエントリー・2014年のマイベストアルバム(洋楽)に引き続き、今回は2014年のマイベストアルバム・邦楽編です。
※このベストアルバム企画は音楽だいすきクラブの2014年ベストアルバム企画にも参加予定。

ちなみに当ブログでのベストアルバム企画のルールは以下の通り。

@対象アルバムは2014年1月〜12月に発売されたもの(洋楽の場合、国内盤発売が対象期間内に該当)
A@に該当したアルバムの中から、「僕個人」が特に影響を受けたものを1位〜5位まで選出(ゆえに、売上げ枚数とか話題性、シーンへの影響度とかの考察ではないです)

前回同様、昨年(13年)の邦楽マイベストアルバムは以下の通りです(昨年は、順位をつけず5枚のノミネート作品からベストアルバムを1枚選出する方式でやりました)。

【ベストディスク】
bloodthirsty butchers / youth

【ノミネート】
クリープハイプ / 吹き零れる程のI、哀、愛
BRAHMAN / 超克
チャラン・ポ・ランタン / 悲喜劇
MOROHA / MOROHAU

ということで、以下が今年の5枚です。


(5位)THE BAWDIES / Boys!

The Bawdies.jpg

このアルバム、あまり話題になってないことが意外です、正直。
13年年末から14年初めにかけて盛り上がった音楽におけるルーツ問題なんてものもありましたが、今の邦楽ロックシーンにおいて自分達のルーツを参照しつつしっかりと自身の音楽に落とし込んでいるのが彼らとOKAMOTO'Sだと思います(若手だとgo!go!vanillasもいい感じ)。
3月にリリースした「GOING BACK HOME」で自分たちのルーツである50-60'sロックをこれでもかというくらいに楽しげにカヴァーしまくったこともあるのか、リズムギターのカッティングとリードギターでリフをしっかりと鳴らすシンプルなロックンロールの格好良さが、これまで以上にストレートに伝わってくるアルバムです。
特に、アルバムリード曲の「kicks」は、冒頭から続くリフと「HEY!」「pa!pa!pa!」等の随所にちりばめられたシンガロングポイントが、彼らの敬愛するルーツミュージックと今のロックシーンのテーマのひとつである「一体感」みたいなものが見事に溶け合っているナンバーに仕上がっていて最高です!





(4位)DRAGON ASH / THE FACES

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97年のデビュー以来、常に新しい音とカルチャーを生み出す切り込み隊長のようだったDragon Ashも、気がつけば多くのフォロワーを持つベテランバンドとして後輩達から憧れられ、また鼓舞していく存在になっています(実際、ここ数年、彼らの初期の代表作であるViva La Revolutionをライブで披露する際、「駆け抜けよう共にこんな時代 繰り返すのは僕らの世代」を「繰り返すのは"君ら"の世代」と言い換えて歌うところが印象的です)。
ここ数年の彼らは「ロックバンドの格好良さの再提示」をテーマに掲げているように思えます。そんな彼らが今作でたどり着いたのは「原点回帰」なんじゃなかろうかと。最初期のアルバムに多く見受けられた楽器の生音にこだわる骨太な楽曲が多いうえに、最近の若手バンドに見られがちな若干後ろ向き・女々しさを感じる歌詞とは正反対な、前向きで泥臭く男らしいメッセージが強く打ち出されています(昨年のCDJで上半身裸で髪を短く切り込んだkjが「どいつもこいつも前髪垂らしたロックやってばっかだ。ロックバンドの格好良さ、見せてやるよ!」ってMCしてたのが印象的です)。特に、ライブ現場の滾る気持ちをぶっとい音と飾らないストレートな言葉で歌い上げる「The Live」は、間違いなくこのアルバムのハイライトです。





(3位)the HIATUS / Keeper Of The Flame

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世代的にもELLEGARDENに少なからず影響を受けていた僕は、正直ハイエイタスの1stを聴いて苛立ちすら感じていたんです。バンド止めてまでやりたかったバンドがこれか、と。エルレでやれることなら人変えてやるなよ、と(これは思い入れが強すぎるが故の話なんですが)。
でも、このアルバム聴いて「the HIATUSとはなんなのか」がようやくわかった気がします。それぞれキャリアもテクニックも円熟しているメンバーを集め、空間的な広がりを意識した音の構築やシンセを中心に様々な音を重ねあわせて「ゆらぎ」を表現していくさまは、まさにハイエイタス唯一無二の音です。リードシングル「Horse Riding」は圧巻で、ポリリズミックなドラムにアコースティックの旋律、ピアノが絡まりあって盛り上がっていく構成に「あぁ、ハイエイタスでこういうことがやりたいのか」と深くうなづいてしまいました。このアルバム出てからライブを見てないので、どう表現されるのか楽しみです。





(2位)大森靖子 / 洗脳

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夏のFUJI ROCKでカノジョのライブを見て以来、心をがっしりと掴まれてしまいました。
2014年の夏、各地のフェスに出るたびにセンセーショナルな話題を振りまき、その破天荒な行動(実際にはそれもしっかりとした意図に裏打ちされてるわけですが)にばかり注目が集まっていた大森靖子。そんなカノジョがいかに音楽的に成熟しているかということを見せつけたのがこのアルバムだと思います。即ち、カノジョを語る上で注目すべきはその破天荒さではなく、その溢れんばかりの音楽的センスだということ。前述の行動は全て、その音楽を聴き入らせるための手段でしかないのですから。
僕は、大森靖子という人はとても頭が良くて1フレーズ選びの天才だと思っています。例えば「ノスタルジックJ-POP」では「新曲いいね 踊れないけど」と今のロックシーンを皮肉ってみたり、「きゅるきゅる」では「ググって出てくるとこならどこへだっていけるよね」とインターネット検索社会の本質のなさを揶揄ってみたり、「デートはやめよう」では「コンビニで一番高いアイスでエロいことをしよう」と小悪魔風に見えて不器用な女のコを生み出してみたり。。。。カノジョの言葉選びひとつひとつが色鮮やかに楽曲を浮き立たせます。
正直、今のJ-POPシーンにおいて頭が切れる上で行動を仕掛ける彼女の存在は異物感がかなりあるわけですが、その異物感は今確実に必要なものなんだと思います。15年、さらなる飛躍をすることは間違いなしですね。





(1位)ROTH BART BARON / The Ice Age〜ロットバルトバロンの氷河期〜

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森は生きている、吉田ヨウヘイグループ等々、今年は東京のインディーシーンに光が当たった年でした。そんな中でもダントツでROTH BART BARONを聴いたなぁという実感です。こういう東京のインディーシーンが注目されているのって、ここ数年邦ロック(あえてこう書きます)のメインムーブメントになりつつある四つ打ちシーンへの反動だと思うんです。ROTH BART BARONの音楽は、管弦を何重にも重ねながら高音でよく伸びるファルセットを乗せて歌うことで一聴するとすごく異国情緒、特に北欧を感じさせる壮大な楽曲を作り上げます。ただ、彼らの音楽を通して見えてくる風景は北欧のそれでなく、寒風吹き抜ける無機質な日本のビル街や農村の温かい光だったりして、実はものすごく「日本の音」を鳴らしてるんじゃないかと思うんです(実際、Vo.の三船君曰くロットの音楽は昭和初期の唱歌に影響を受けているとのこと)。
アルバムタイトル自体は「氷河期」なんだけどアルバムが進むにつれて雪解けが始まって暖かさが増し、最終曲の「オフィーリア」が始まる頃には春の陽光が差し込んでいるのも不思議。






今年は個人的にも結構「原点回帰」を意識した年でした。ここ数年、音楽の趣味の幅がどんどん広がって、新しいジャンルやミュージシャンとの出会いが増えている一方で、原体験となる中学・高校時代にそれこそ盤が擦り切れるまで聴いたロックミュージック(いわゆるロッキンオン周り)に触れることが少なくなっていたなぁと感じていました。そこで、今年はあえてそういうバントたちの新作はできる限り聴く、みたいなことを繰り返してきました。結果、ものすごくいい作品たちが出ていることも知れたし、色々なことに対する許容性が広がっている自分にも気がつけました。
来年も選り好みせず、本当に色々な音楽に触れる中でグッドミュージックに出会っていけることを期待しています!!(と、最後はグダグダになっちゃいました・・・・笑)


ラベル:邦楽 企画
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2014年12月24日

2014年マイベストアルバム〜洋楽編〜

11月に結婚式を挙げたんですが、それの準備が思っている以上に忙しくてまったくブログ触れてませんでした。ネタはいくつかあるのでまた更新を行っていこうと思います(結婚式に関連するネタもあるので、それも近いうちに・・・)。

ということで、今年も残りあと僅か。
様々な音楽メディアや個人ブログ等で年間ベストアルバム企画が始まっていますが、僕自身の2014年度版ランキングを載せたいと思います。
※このベストアルバム企画は音楽だいすきクラブの2014年ベストアルバム企画にも参加予定です。

ちなみに当ブログでのベストアルバム企画のルールは以下の通り。

@ 対象アルバムは2014年1月〜12月に発売されたもの(洋楽の場合、国内盤発売が対象期間内に該当)
A @に該当したアルバムの中から、「僕個人」が特に影響を受けたものを1位〜5位まで選出(ゆえに、売上げ枚数とか話題性、シーンへの影響度とかの考察ではないです)

ちなみに13年の洋楽ベストアルバムは以下の通りです(昨年は、順位をつけず5枚のノミネート作品からベストアルバムを1枚選出する方式でやりました)。

【ベストディスク】
The Mowgli's / Waiting For The Dawn

【ノミネート】
Lorde / PURE HEROINE
Bears and Copany / South of the Mountain
HAIM / Days Are Gone
ARCADE FIRE / Reflektor


ということで、以下が今年のマイベストアルバムです(各アルバム毎に簡単なコメントつけました)


(5位)Prince & 3rdeyegirl / Plectrum Electrum

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音楽業界(もちろん、僕の中でも)の14年一大ニュースと言えば、「Prince殿下、古巣ワーナーへの電撃帰還」でしょう。しかもまさかのアルバム2枚同時リリース。世の中的にはPrince単独名義のArt Official Ageの方が話題に上がることが多いみたいですが、僕は断然こちらのアルバムを支持!
殿下お得意(?)の綺麗なお姉さまをはべらせ、クラシカルなバンドサウンドを用いて、これまた殿下お得意のファンクロックを鳴らす様は流石の一言に尽きます。全編ライブレコーディングということもあり、粗さも感じさせる音も魅力的です。




(4位)Cloud Nothings / Here and Nowhere Else

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Cloud Nothingsの「青さ」は今作でももちろん健在でした。
彼ら(というか、ディラン)の特徴でもある疾走感溢れる楽曲達は、ノイジーに響くギターと激しく打ち鳴らされるリズム隊によって、これまでのどの作品よりも「若さゆえの焦燥感」が伝わってきます。
ここ最近のインディーズシーンを見れば、オシャレなサウンドを鳴らす同世代のバンド達が台頭している中で、ぶれずにオルタナやグランジを追求する姿は好感と愛情を感じずにはいられない!
I need time to stop moving!I need time to stay useless!!(このアルバム収録曲じゃなけど 笑)




(3位)The Royal Concept / Goldrushed

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彼らのことは以前この記事でも取り上げていますが、今年の上半期に一番聴いたアルバムがこの「Goldrushed」かもしれません。既発のEP2枚でも片鱗を見せていた、「踊らせる」と「歌わせる」の2点がしっかりと練り込まれたアルバムになったなぁという感じ。キラキラと輝くシンセ音はじめ打ち込み系の楽曲のイメージが強い彼らですが、元々ジャズの学校出身のメンバーがいることもありライブの度にアレンジを利かせて楽曲を披露しているあたりも面白さを感じる部分だったりします(you tubeで検索すると様々なアレンジのOn Our Wayの動画有)。
世界的に見ても日本で比較的人気に火が付いている印象があるのでどんどん来日して欲しいです。




(2位)Foo Fighters / Sonic Highways

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Foo Fighters3年半ぶりの新作、本当に待たされただけの甲斐がありました!
実在する伝説的レコーディングスタジオの復活を追ったドキュメンタリー「Sound City」製作以降、"アメリカにおけるロックのルーツ"を探求し続けているデイブ・グロール。
今作では、全米8ヶ所の都市でそれぞれ1曲ずつ録音を行っているので、当初それぞれの地域に根差した音楽を彼が鳴らすのかなぁ、なんて思ってたら大間違い。しっかりとFoo Fighters節が溢れる骨太なロックアルバムに仕上がっていました(笑)
なんていうか、このアルバム全編を通して伝わってくるのは、「アメリカのロックンロールに対する押さえきれない愛」ですね。とにかくスケールが大きくてダイナミックなサウンド。最近、運転中はこのアルバムしか聴いてないです(笑)




(1位)Screaming Maldini / Screming Malidini

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ということで14年の洋楽枚べストアルバムはScreaming Maldiniの1stアルバムにしてラストアルバムとなった今作でした。
バンド自ら「クイック・ポップ・コア」と名付けたスタイルで次から次へと畳み掛けるように切り替わるNickとGinaの男女ツインボーカルに残りの4名が加えるのびやかなコーラス。チェンバーロック的なアプローチでシンセ、グロッケン、ブラスに手拍子とカラフルに響き合う様々な音達。
それらが混ざり合って、思わずシンガロングしたくなるような楽曲から涙を誘うエモさ満点の楽曲まで、まるでおもちゃ箱のように詰まっていて、1枚通して聴くのが楽しくて仕方がないアルバムです。
日本をはじめ、本国イギリス以外でも徐々に人気が出始めて、15年には各地のフェスに引っ張りだこでは!と思っていただけに12/5、あまりにも早すぎた解散はショックでなりません(4月に彼らが来日公演した際、Nickと「来年Fuji Rockで会おう”」って話したのになぁ・・・)。「ダイヤモンドの原石」「ブレイク前夜」ってこういうことを言うんだろうな、ということを身をもって実感できる最高の作品です。





ということで、以上が14年マイベストアルバム(洋楽編)でした。
14年は、FKA twigsSky FerreiraBlood Orangeと言ったニューカマーに心奮わされたり、各メディアで高評価のSt.VincentBECKの新作にも滾ったし、最後の最後でD'angeroが14年ぶりのモンスターアルバム放り込まれて最後の最後までランキングがぶれまくったり、、、、と結構色んな音にも触れていたんですが、やっぱりバンドサウンドからのノミネートが多くなっちゃうのはもう性(さが)だと思って諦めます(笑)
15年度は、MineralAmerican footballと言ったエモの伝説的バンドの来日が立て続くので、エモリバイバルイヤーにならないかなぁ、なんて勝手に期待しています(笑)


ラベル:洋楽
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2013年12月24日

2013年マイベストディスク〜邦楽編〜

2013年マイ年間ベスト企画第二弾です。
前回の「2013年マイベストディスク〜洋楽編〜」に引き続き、今回は「邦楽編」です。

繰り返しになりますが、本企画は以下二点のルールで書いています。

@洋楽と邦楽からそれぞれ5枚ずつアルバムをノミネート。その中から洋邦それぞれの「マイ年間ベストアルバム」を発表。
Aあくまでも「僕個人」が2013年に発売されたアルバムの中で特に影響を受けたものを選出。


【ノミネート】クリープハイプ / 吹き零れる程のI、哀、愛

クリープハイプ_吹き零れる程のI、哀、愛.jpg

結構意外に思われることが多いんですが、僕、クリープハイプ好きなんですよ(笑)おそらく、今年の頭くらいに纏めた「SNSの普及に伴うライブハウス文化の変容について@」が僕が彼らを好きでないと思われている理由なんだと思うんですけどね。。。

僕は、クリープハイプの音楽は「都会への憧れを抱く地方都市に在るリアル」「人間関係・男女関係をうまく立ち回れず泥沼にハマっていく人のリアル」だと思っています。決して「渋谷や下北沢に在るリアル」でも「コミュニティカーストの上位層にいるリア充のリアル」でもないんです。みんなで明るく合唱する「SEXしよう!」ではなく、「愛しいだけじゃ足りないし 嬉しいだけじゃ不安だし 優しいだけじゃ意味ないし」とうつむいて呟くようなもんなのです。

2013年、名前が売れた事によりさらに如実に鳴った気がしますが、彼らの状況ってそういう音楽を鳴らしながら、ステージの下で支えているのはその対極にある人達がメインっていう不思議な状況ですよね。基本的にライブの楽しみ方は「各自が好きにやってくれぃ」スタンスですが、合唱、モッシュ、リフトが溢れるステージ下と楽曲の持つ映像のズレはいつも不思議な違和感を感じます。ある方が「クリープハイプの音楽で"盛り上がっている"人達は、決して自分がなることのない人の状況や感情を疑似体験してるのだ」と言っていたけれど、結構頷ける私的だなぁと思います。なんにせよ、バンドが変わっていくのか、ファンが変わっていくのか、それともこれからもこのズレを内包したまま続いていくのか、彼らに対する興味は尽きません。

シングル曲のキャッチーさに対して、ギターをザクザク切り刻むような激しめの楽曲がうまく散りばめられているところに、ロキノン系バンド代表格の意地、みたいなものをとても感じられたアルバムでした。キャッチーな曲とソリッドな曲がバランスよく入っているので一枚通して聴いていると面白いです。ただ、フェス受けするノリのいい曲が受けてるバンドって増えてきているので、そこに拘らず今後は「あ」みたいな感情だだ漏れみたいな曲作っていって欲しいな、とか思ってます。







【ノミネート】BRAHMAN / 超克

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リリース当時、「曲が日本語詞」みたいなことが色々書かれてた気がしますが、それでいったら「ANSWER FOR...」「BASIS」「ARRIVAL TIME」みたいに初期から日本語詞の曲はあったわけで、各メディアの切り口には「?」を持っていた記憶があります。当時、こんなこと呟いてますね。



BRAHMANって長い活動の中で伝えているメッセージは本当にぶれてないと思うんですよ。「生と死」について。ただ、3.11以降、彼らの言う「気高い生き方」の意味合いは変わってきてるのかな、と感じます。自分の一人の命ではないのだから、どんなにがむしゃらでも一見かっこ悪くてもひたすら生き抜き往生する。そんな風になってきたと思うんです。だから、このアルバムでは、これまでの曲ではあまり見受けられなかった「残される者」の目線がより強く描かれている気がします。そして、音自体も、相変わらずの轟音ではあるものの、これまでよりも「優しい」印象を受けるんです。だから、これまでのように気持ちを盛り上げたい時だけでなく、落ち着かせたい時も含め、様々な場面で聴く機会の多いアルバムになりました。

震災前、このバンドは本当に不定期に活動するバンドでした。でも、3.11以降は継続的に活動を続けています。根本的なメッセージにブレはないものの「自分たちの美学」から離れ、「周囲も含めた」美学への変化は彼らにとって確実にプラスになっている筈。最近は若いバンドとの共演も格段に増えており、今後の更なる活動を期待してなりません。







【ノミネート】チャラン・ポ・ランタン / 悲喜劇

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昨年半ばくらいから、凄腕アコーディオンとパワフルなボーカルで盛り上げ上手な姉妹がいるって噂を聴いていたんです。2013年、実際にカノジョ達をRSRで見る事ができ、一気にハマってしまいました。




一言で表すなら「サーカス」を見せてくれるような2人組です。シャンソンやら昭和歌謡やらをベースにしつつ、小気味よいメロディに載せて、様々な主人公の数奇な人生を歌う、聴いていて全く飽きません。

なにより妹・ももの歌唱力が本当に凄い。RSRではリハで美空ひばりのカヴァーを歌っていたのですが、お世辞抜きに本家に負けないくらいの迫力でした。

今回、ライブ盤を選んだのは、「生」こそカノジョ達の良さが伝わるからです。小春の毒舌MCはキレキレだし、ももの歌声はますます迫力を増すし。ライブの雰囲気や息づかいがそのまま伝わってくる良盤です。限定販売なので手に入りづらいと思いますが、ぜひ手に取って欲しい。
(ちなみに、ももちゃんはPerfumeのあーちゃんに似てると思うのは僕だけでしょうか 笑)







【ノミネート】MOROHA / MOROHAU

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MOROHAは僕にとって、HIP HOPという概念を大きく変えてくれた人達です。編成はMCとアコースティックギターのみ。DJもいなければ打ち込みもない。アルペジオとカッティングを多用したギターの音色の上に、ただひたすらに早急なフロウを乗せるのみ。

そしてそこで歌われるのは、「天下を取る」という大きな夢と、その夢に歯牙すらかからない己の現状。ただ赤裸々に現状に対する情けなさと悔しさを語り、それでもなお地面に這いつくばりながらも上を見続ける。

初めて彼らの楽曲を聴いたとき、感情の情報量の多さにただただ圧倒されました。そして、リリックのひとつひとるが突き刺さって抜けなくなるんです。




彼らのリリックは全くかっこつけたところなんてありません。とにかく汗と泥にまみれたリアルな言葉なんです。だからこそ、日々壁にぶつかりながらそれでも前を向かねばならない僕らの心を捉えて離さないんでしょう。

このアルバムには沢山奮い立たされるフレーズが山程あります。三文銭という曲の「DreamはComeしてTrueにならず DreamはGoしてTrueにしていく」というリリック。革命という曲の「今年こそ?来年こそ?何年生きれるつもりで生きてきたんだ?今日が終わる いや今が終わる そう思えたヤツから明日が変わる」。

MOROHAを聴くと胸が痛くなるんです。でも、まだまだやれるな俺はって奮い立たされるんです。このアルバムはこれからもずっと聴き続けるんだろうな、そう思います。







【ベストディスク】bloodthirsty butchers / youth

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2013年5月27日、吉村秀樹氏が亡くなったというニュースを聴いて驚愕しました。そして信じられませんでした。だって、殺そうとしたって死ななそうなイメージの人なのだから。

僕にとってブッチャーズは、日本のロックのかっこよさを教えてくれた非常に大事なバンドです。高校一年生の頃、友人の家でRSR 1999で吉村さんが投げたギターがきれいな放物線を描く映像を見たとき、「日本のロックってなんてかっこいいんだろう」という言葉では表現できない感情を抱きました。そして、同時に「いつかこの人達のライブを見てみたい」と心に誓いました。



その2年後、ブッチャーズが出るライブに行った際、ライブ終了後、いいちこ片手に歩き回る吉村さんにばったり会い、興奮しながらRSRの思い出を語りました。吉村さんは満面の笑顔で僕の頭を叩いて「20歳超えたらライブハウスで酒飲むか?ん??」と言いながらピックをくれました。

それ以降もブッチャーズの音源を買い、ライブにも足を運び続けていました。22の時にどこかのフェスで吉村さんを見つけ、乾杯することもできました。

ブッチャーズの魅力はなんといっても「音像」です。彼らの楽曲は、まるで台風の目の中に立っているかのように360°を駆け巡る音の嵐の中にあって、なんとなく身体を任せたくなるような心地良さと少しばかりの切なさが同居しています。彼らのどのアルバムにもその要素はふんだんに盛り込まれている訳ですが、死の直前、吉村さんはこんなツイートをしていました。




実際、届いたアルバム「youth」は、吉村さんの死という事実関係なく、間違いなくブッチャーズの最高傑作です。ドラムの重たいリズムからかき鳴らされるギターが乗り、徐々に盛り上がりをみせる「レクイエム」からスタートし、「ディストーション」「サイダー」といったアッパー目な曲を中盤に挟みつつ、ギターソロを弾き倒しつつ収束に向かう「アンニュイ」で締める51分間。スピーカーで爆音にしてかけると、四方八方から様々な音が向かってくるにも関わらず、波間に漂っているような心地よさを感じられる、ブッチャーズの持つ「音像」がいかんなく発揮されています。これまでのブッチャーズの持っていた音像を軽く飛び越えているだけに、この次、をどうしても期待してしまいたくなってしまうのが悔しいです。

吉村さんが亡くなった時に、多くの音楽関係者が「ブッチャーズなくして今の邦楽シーンはない」とツイートしていました。ブッチャーズは自らシーンを担い、後輩達にも大きな影響を与えてきた、日本のロックを語る上で書かせない存在なのだと思います。ブッチャーズは止まりましたが、ブッチャーズの音楽は止まりません。今後も色々な場所で、色々な人に、唯一無二の音像を届け続けてほしいと思います。







ということで、今回も思いっきり感情込みの5枚になりました。
2013年はアイドルやボカロ、ポップス等、これまであまり触れてこなかったジャンルにも多数触れる機会があり、様々な発見と出会いがあった年でした。

なんだかんだで今年の5枚はロックよりになりましたが、おそらく来年は5枚の中に上記ジャンルも入ってくると思います。繰り返しになりますが、今年の音楽シーンは邦楽も洋楽も名盤ぞろいでしたし、様々なサービスやカルチャーが生まれ、まさに「今が一番面白い」一年だったと思います。

来年はどんなアルバムたちが出てくるのか、今からとても楽しみです。


posted by Ai_Tkgk at 13:58| Comment(0) | 総括 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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